雨

久しぶりのツーリングの帰り道、一本道の国道が渋滞していた。
少しすり抜けをしていたがどうやら事故渋滞だ。警官による交通規制に仕方なく車に並んで停止する。

何もない山あいの国道。どんよりとした空。そう言えば天気予報は６０％以上の雨。この様子だと間違いなく降るだろう。そうは思ってもいつも程、うんざりした気分にはならない。今ツーリング中の自分がここにいるというに満足している。

ぼんやり山をながめていると遠くにすーっと線がひいた。少しして線が増えてくる。ぽつ、ぽつ、ぽつ。体に感じる感触。さーっ…。

雨、か。

今すぐかっぱを着ればそれ程ぬれずにすむ。わかっているけどなんとなくそのまま雨を感じている。雨の音がする。体の真下のシングルの鼓動も、隣に並ぶ車のアイドリング音も雨の景色に消えていく。山が少しかすむ。とても暖かく優しい色だった。その中にいる自分。

バイクに乗っていてよかった。不思議なパラドクス。

自然に体を晒しているからこそ感じられる雨もまたいい。