5日目(8月1日)

もちろん今日も4時に起きて星を見るつもりでいた。が、3時過ぎ…。
いたたた。な、なに?またしても強い痛み。治ったと思ったのに…。トイレにかけこむ。見事に悪化している。
なんで?かなりショックを受けながらまたベッドに戻る。
なんだか頭も痛い。

ちょっと待ってよ。頭が痛い?そう言えば一昨日も鼻がぐずぐずしてた。もしかして風邪?
以前、風邪の菌がお腹について激しい嘔吐と下痢を繰り返す胃腸炎を経験したことがある。もしかしてあれなの?だったら下痢止めだけ飲んでてもきかないはずだ。

午前4時。お腹が痛いしどうしようかと思っていたら外でざくっざくっと足音が。続いてぶおっという鼻息。馬だ。なんでこんなゲルの真横に?
馬が襲ってくるとは思わないけど真っ暗な中で馬と対面するのもなんかコワイ気がする。起きるかどうするか迷っているとみっきーの携帯の目覚ましが鳴った。みっきーが起きたら起きようと思っていたのだけど、素早くアラームとをめたみっきー、そのまま寝てしまった。まぁいいや。星はまだキャンプでも見れるだろうし。
ということで馬の鼻息を聞きながらまた眠る。

朝起きるとすぐに下痢止めと風邪薬を飲む。空腹時に飲むと胃にはよくないけど、胃腸炎の場合はその方がよく効く。と、思い込んでるせいかどうか、あの嫌な感じがぴたりと止まった。ああ、風邪だったんだ…。

さぁ出発。今日もたくさん走らなければ。まずは一昨日の砂漠のところまで同じ道を行くという。みんな相変わらずのハイペース走行。前3人の男性は道をそれ、草原を走っている。私も時々は道をそれるのだけど、突然深いギャップが出てきたりするのですぐに道に戻れるくらいしか離れなかった。

しばらく走ると分岐に到着。前を走っていたみっきーが止まる。けど男性陣は?
待っているとサポートカーが追いついてきた。
みっきー「これって分岐?全然違うところに行っちゃうの?」
ギンさん「そうですヨ。どうして行っちゃったのかなぁ」
「多分道からそれて走ってたから分岐に気づかなかったんじゃないかな」
少しづつ進みながら探しても、見える限りのところには誰もいない。

仕方ないので一台のサポートカーが探しに行き、みっきーと私はもう一台のサポートカーと一緒に先行することにした。実はのんびり砂漠までの道を進んで待っていられるかと思ったのだけど……は、速い!サポートカー速すぎ!
フラットな路面のところではさっきまで先頭だった男性達と同じくらいのスピードで走っている。今このサポートカーとはぐれたら後ろにサポートカーはいない。かなり必死でついていく。さっきよりがんばって走ってるかも…。

ようやく昨日の砂漠が見えるくらいのところに来ると一瞬車が見えなくなってぎょっとしたけど、少し横のゲルに止まっていた。どうやらここで後続を待つらしい。このゲルは多分観光用ではないようだけど、遊牧民の人たちは誰でもお客としてもてなしてくれる。ここでも当たり前のように中に迎えてくれた。

(←なんとこのゲルの中にはセローが!!XTじゃなくてセローだよ。びっくり。)

ギンさんがいないので日本語が誰もわからないのだけど、イリナさんが手振りで中に入って休めという。ブーツも脱げというけど応急処置でテープぐるぐる巻きの私のブーツは脱ぐに脱げない。そのままでいるとイリナさん、寝ててもいいよと言う(^^;

ゲルの人がまたアーロールを出してくれた。うーん、やはりすごい酸味。昨日は一個食べてしまったみっきーもその後ちょっと気分が悪かったらしく、今日はほとんど食べていない。私もおいしいとは思わないんだけど昨日よりは食べられる。ちびちび食べているうちに一個食べきってしまった。お!これはゲルで暮らせるかも(ムリムリ)

のんびりしていると後続車到着。みんなも少し休むことに。あら、なんかモリタさんぐったりしてる?
「こけちゃった」
みっきー・ちっち「え!?大丈夫?」
まっちゃん「すごかったよー」
マナベさん「だいぶ離れてたからよかったけど、くっついて走ってたら僕も危なかったなぁ」
「20秒くらい息ができなかった…」

げげ。外傷はないけど、かなりの速度でギャップに突っ込んで自分が飛んだらしい。こわー。
「でもふっきれた」
え?な、なにが?ここから猛烈に飛ばすんだろうか(^^;

少し休憩してから再び出発。一昨日と同じ場所でランチをしてからまた草原へ。一昨日ほどではないけど走りやすい道。体調がよくなっているので速度が出ていても結構楽しい。今日あの草原を走りたかったな。

(みっきー撮影 なんと走りながら撮ったという。ダートであんな速度で走ってるのにすごい!→)

それにしても暑い。湿度も少なく乾燥しているので体内の水分もどんどん逃げていくようだ。今日まで走っている日の昼間にほとんどトイレに行っていない。500mlのペットボトルを何本も飲んでいるのに。

今日も休憩は少なくかなり喉が渇く。エンデューロレースの人がしてるみたいな背中に水しょってストローで走りながら飲むやつが欲しい…。
休憩したいよー、と思いつつサポートカーの横を通る時にギンさんを見ると…寝てる(^^; きゅーけーさせてーーー。
勝手に止まっちゃおうかなぁ。だめかなー。と思っていたらモリタさんが止まってくれた。

みずーーー。げ!持ってたペットボトルが空!!
みっきー「2本中途半端に入ってるのがあるから一本あげる」
きゃー、みっきーステキー!日が照りつける中を持っているのでお湯っぽい水だけどこれがすごくありがたい。

(←休憩中。まさに大の字! モリタさん撮影)

ふあー。疲れた。がんばって走ったら休めるかなーと思っていたのだけど、実はこれが間違いだと後で気づかされる。
なんとこの日は距離で行動するのではなく時間。だから7時半頃まで走れるところまで行ってキャンプだという。だったらあんまりがんばらなきゃよかった。

この休憩地点は草原を過ぎてちょっとした山の間。と言っても砂利があるわけでもなく走りやすい。日本の林道もこんなんばっかりだったらいいのに。

休んでいるとサポートカーが追いついた。早速水を一本もらい水分補給。

ここからまた少し行ったところにお寺があるのでそこで休憩だという。
明日もお寺って言ってたけど今日もあるのかな?
さらに山岳地帯を少し進むとゲルがいくつか集まっているところがあり、道がわかりにくくなった。とりあえず止まって待つとここがお寺だという。お寺というよりはお寺があったところ。遺跡のような感じだった。でも一部分建物が残っていて、そこでは今でもお坊さんがいるそうだった。
(←奥の方に今も使われている建物)

この後はまた少しだけど山岳地帯。結構カーブもあるのにマナベさんよくついていくなぁと思っていたら、転倒!それほど速度は出てなかったけど大丈夫かな?慌ててバイクを止めて助けに行こうとしたら不安定な地面にきちんとスタンドをかけていなかったせいで、私も転倒(^^; これは学習能力以前の問題…

山岳地帯は長くは続かず、すぐに草原へ。
カソリさんが「ハーブ園のような香を楽しんできてください」言っていたようにどこまで走っても香がする。草の匂いとはまた違う、本当にハーブのような香。深く息を吸いながら走る。

何もない草原地帯で休憩。みんなのんびりしているとまっちゃんが「走ってくるから写真撮って!」と言い出した。ここで撮影会開始!ギンさんがまた「早く行きますよー」って言うかなと思ったけど、仕方ないなぁというように見ているだけなのでみんな順番にカメラを預けては少し先まで行って走ってくるところを撮影!

(まっちゃん撮影 かっこいい?かっこいい?→)

一番乗り気のまっちゃん、メットをかぶってバイクの向きを変えようとしたところで・・・あらら?なんとバイクが自分と反対側に倒れてしまった。
ははは。走ってて一度も転ばなかったのに。

次は私の番!と張り切って出発したらなんと草原の中にいたウサギが飛び出してきた!ナキウサギみたいに小さいのじゃなくて日本にもいるような少し大きめのウサギ。かわいー。わーい。

さて、そろそろ出発かなと思ってるとおもむろにギンさん「じゃあみなさんが終わったので今度は僕が」へ?なーんだやりたかったんじゃん。ということで今度はギンさん。一番はしゃいでたかも(笑)

さて、走り出したのはいいのだけど、この頃からまた前方に雲が広がりだす。走行初日ほどじゃないけどやっぱり重たい雲。いやだなー。進みたくないんだけど。ここじゃだめ?…だめか…。

次の休憩は井戸のある場所。ゲルがいくつかあってそこから少し行ったところに井戸がある。ここの水も冷たくて気持ちいい。顔を洗ったり手を洗ったりしているとヤギが車とバイクに群れてきた。なんと2本のツノの間に車のドアをはさんで開けたり閉めたりしている。すごいぞ。みんなで見ていたら「あ!まっちゃんのジャケット!」見ると数匹のヤギが噛み付いている(^^; 慌てて引き離すまっちゃん。ヤギは車やバイクについた塩分をなめにくるという話だけどどこで塩分がつくんだろう?

(←バイクに群がるヤギ達)

さて今日のキャンプ地はここから40kmくらい進んだところだとか。また何もない草原でキャンプ。ところでそろそろガソリンが少なくなってくるはず。案の定一番燃費悪い走行をしていたまっちゃんがリザーブに入った。

この後キャンプ地で車につんでいたガソリンを給油していたんだけど、なんとオイルも足していた。交換じゃなくて継ぎ足し。しかも500mlのペットボトルに入れたのを1台に1本いれてた。セローならオイル量は1Lのはず。なぜ半分も減ってるの?(^^;

やはり天気が悪い。雨は大丈夫そうだけど、星は見えないかも。楽しみにしてたのに…
まっちゃん「かー、ビール、うめー」
モリタさん「うまいねー」
マナベさん「結構冷えてるね。ありがたい」
みっきーもおいしそうに飲んでいる。
…なんかうらやましい……。ためしにみっきーに一口もらってみたけど…うーん(T_T)

(マナベさん撮影 手には缶ビール、おつまみはなんとモリタさん差し入れのカキの種!→)


まったりしていると遊牧民の人がとおりがかった。青年と言った年頃の二人。さよーならーというつもりで手を振ったらくるっと向きをかえてこっちにきてしまった。あ、あれ?そういうつもりじゃなかったんだけど(^^;

彼らは馬をとめてすっかり座り込んでしまった。
遊牧民の人たちは誰でも来た人を歓迎してもてなし、初対面の人をゲルに宿泊させることも普通だという。さすがにウランバートルのような都市ではそういうことはないそうだけど、こういうのが当たり前っていう生活ってすごいね。それだけ助け合わなければいけない環境なんだろうな。

それはいいけど、いつまでいるのかなー。トイレ行きたいんだけど。なかなか動く気配がないので見えない場所まで行くことにした。
が、なんと真っ最中に声が!?ぎゃーー。大慌てで身支度をしたけど目いいだろうし絶対見られた!(T_T)
なんで今帰るのよ…
ハズカシまぎれに「バヤルタエ(さようなら)」と言ってみたら向こうも挨拶してくれたけど笑ってたような気がする…
ひー


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